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心理学には実に多くの心理理論が存在する。心理理論は相談方法の理論と心理治療の理論とに分類することができるわけだが、心理の基準と体系を究明した理論はなかった。心理理論となるためには、人間の心理を理解し、解釈するとき論理的な矛盾があってはならず、体系的でなければならない。また理論と現実が一致しなければならないと同時に心理におけるすべてのはたらきをいくつかの原因で証明できなければならないし、宗教的な解釈と科学的な検証がなされなければならない。
心理理論が重要なのは人間関係の分析と解析、心理障害の原因分析と治療方法を開発することのできる心理の基準になるからである。とくに心理理論は哲学、政治、経済、社会、文化、芸術、相談など、さまざまな学問において人間関係の心理を理解し、解釈することのできる基準になるから重要である。
人間は体(Body)と心(Mind)に区分することができる。これをコンピューター(Computer)に当てはめれば、体はハードウェア(Hardware)と見なし、心をソフトウェア(Software)と見なすことができる。コンピューターはハードウェアとソフトウェアが分離して作用するため相互に影響を与えることはない。しかし人間は考え、話し、行動する社会的動物であるため体と心が一つになってはたらき合いながら相互に影響を与え合う。人間の体と心をコンピューターのハードウェアとソフトウェアに当てはめるのは若干問題があるが、心と心理の概念を理解し、分析するために比較するのである。
ハードウェアに該当する体は身体、臓器、細胞とDNAで構成されており、ソフトウェアに該当する心は心理をはたらかせる。ソフトウェアがないハードウェアは単なる屑鉄に過ぎず、コンピューターの機能を果たすことはできないし、ハードウェアがなければソフトウェアは必要がない。だから正常なコンピューターはハードウェアとソフトウェアが共に作用しなければならない。これと同じように人間の体と心は一つになっているため別々にはたらくことはない。それで体のはたらきを分析するのは医学と科学において証明しなければならないし、体と心がともにはたらくのを分析するのは哲学、精神分析学、心理学において論理をとおして証明しなければならない。
コンピューターにあってはソフトウェアは正常なのにハードウェアが故障すれば、コンピューターの機能は中断され、ソフトウェアはまったく役に立たない。またハードウェアは正常なのにソフトウェアが故障すれば、コンピューターは作動するがエラー(誤謬)が生じる。このように心理は正常なのに体が病気になれば心理は役に立たず、体は正常なのに心理に障害が生じれば正常な活動は可能だが、心理障害が発生する。とくに人間は体と心が一つになっているため体が病気になれば心によってはたらく心理にも問題が発生し、心理に問題が生じれば体にも病気が発生する。したがって体と心のうちどちらか一方であっても問題が発生すれば体と心の両方が問題になるため心理理論は体と心をともに研究しなければならない。
医学と科学は身体にたいする明確な基準があるため身体の基準によって検証する。宗教は経典の基準をもって信仰を発展させる。しかし哲学と心理学は心理の基準がないため発展できずにいる。したがって人間という存在を理解していく過程で三つの基準が一つにならず、多くの理論と反論によって心理の研究は続けられているが、多くの困難がある。心理の基準が設定されれば心理障害の治療方法が開発され、心理と身体の関係性を分析すれば身体の疾病の治療に連係することが可能となり、心理と宗教の関係性を分析すれば宗教の信仰を強化することができる。このように心が心理の基準であることを証明することで哲学と心理学だけでなく、さまざまな学問との連係が可能である。したがって心理の基準である心理論の仮説は重要なのだ。
心理論は心において意識と無意識がはたらき、心によって認識心理、記憶心理、表現心理がはたらく原理を解析することで心理のすべての現象を分析した心理理論である。心理は心によってはたらくと言える。そして心を中心として認識心理、記憶心理、表現心理のはたらきを論理的に分析し、これを証明するために心理論において七つの仮説(Hypotheses)を設定して証明することで心理理論を開発することができた。
心理論の七つの仮説で心理のすべての現象を分析し、理解できるように論理性、体系性、一致性にたいする検証のために心理障害を治療する臨床テストに適用した。
心理論の七つの仮説を観察すると、まず第一に「心の構成にたいする仮説」、人間の心は意識と無意識で成っているという仮説だ。第二に「心と心理が異なっているという仮説」、心の意識と無意識が体と連結して認識、記憶、表現などにはたらく心理として区分されなければならないという仮説だ。第三に「男性と女性の違いにたいする仮説」、男性と女性の心が異なってはたらくという仮説だ。第四に「感情記憶の違いにたいする仮説」、男性は感情記憶をしないが、女性は感情記憶をするという仮説だ。第五に「幸福追求の違いにたいする仮説」、男性は未来の幸福を追求し、女性は現在の幸福を追求するという仮説だ。第六に「自我実現の違いにたいする仮説」、人間関係において男性は人生の価値を追求し、女性は生の意味を追求するという仮説だ。第七に「ストレスと心の傷の違いにたいする仮説」、男性はストレスを除去し、女性は心の傷を治療するという仮説だ。
この仮説は心理を分析し、心理理論を検証するための基本説明であり、これを証明するために心理障害の治療に適用したところ、男性と女性の心と心理がはたらくとき正確さをもっていた。ただ心理論は人間の心と心理がはたらく原理にたいする心理理論であるため心理が身体に及ぼす影響を分析するための医学と科学の検証と証拠がない。したがって心理論は医学的な研究が並行してなされなければならない。
第一の仮説 心の構成
心理論の第一の仮説は心の構成だ。人間には心があるというのは誰もが知っている。しかし心はどのように構成されているのか知り得ず、抽象的にだけ考える。それで心理論では心が意識と無意識で構成されており、無意識は習慣と心エネルギーで構成されているという仮説を設定した。
心エネルギーによって習慣がはたらき、習慣は一定のパターンとしてはたらく。また習慣がはたらくとき記憶情報、または外部情報と感情を連結し、意識において自覚できるようになる。したがって心は意識と無意識で心理をコントロールする役割をする。
第二の仮説 心と心理が異なっている
心理論の第二の仮説は心と心理が異なっているということだ。既存の心理学では心と心理をともに使用し、同一の概念としてとらえていた。心理がはたらくのを心と同一に分析していたため心理については多くの面で研究されたが、心は研究がなされなかった。このため新しい心理理論を継続して開発するしかなかった。そこで心理論では心と心理が異なっているという仮説を設定した。
心は意識と無意識で構成され、心理を処理し、コントロールする。心理は認識心理、記憶心理、表現心理などで構成されている。認識心理は外部情報を心で認識するときはたらく心理だ。記憶心理は外部情報を記憶したり、記憶されている情報を心で自覚するときはたらく心理だ。表現心理は心を外部に表現したり、内部に表現するときはたらく心理だ。しかるに心理障害は認識障害、記憶障害、表現障害、このように三つにだけ分類される。
第三の仮説 男性と女性は心が異なっている
心理論の第三の仮説は男性と女性が心のはたらきが異なっているということだ。心を構成する意識と無意識がはたらくとき男性の無意識と女性の無意識が異なってはたらくため心理が異なってはたらくという仮説を設定した。
男性の無意識は気分の心エネルギーによってストレスを除去する習慣がはたらき、女性の無意識は感情の心エネルギーによって心の傷を治療する習慣がはたらく。これにより男性と女性は認識心理、記憶心理、表現心理が異なってはたらく。
第四の仮説 男性と女性は感情記憶が異なっている
心理論の第四の仮説は男性と女性が感情記憶において異なっているということだ。第三の仮説によって男性と女性が心のはたらきが異なっているため心理も異なってはたらく。記憶心理によって男性と女性は感情記憶が異なっているという仮説を設定した。
男性は否定気分は除去し、肯定気分は意識で消耗するため感情を記憶しない。女性は肯定感情は意識で消耗し、否定感情は治療するために記憶する。
第五の仮説 男性と女性は幸福が異なっている
心理論の第五の仮説は男性と女性の幸福追求が異なっているということだ。男性は気分がはたらくために現在の感情を感じられず、未来の幸福感情を追求するが、女性は感情がはたらくために現在の感情を感じることができ、現在の幸福感情を追求するという仮説を設定した。
男性は肯定気分を持続的に生成し、未来にも肯定気分が持続されて幸福感情になれるようにはたらくため未来の幸福を追求する。女性は否定感情を無感情に転換させ、幸福の感情をつくるため現在の幸福を追求する。
第六の仮説 男性と女性は自我実現が異なっている
心理論の第六の仮説は男性と女性は人間関係における自我実現が異なっているということだ。男性は熱情をもって未来の幸福を追求しながら人間関係においては特定対象の価値を追求するが、女性は愛の感情で現在の幸福を追求しながら人間関係においては意味を追求するという仮説だ。
男性は人間ではない対象の価値を追求し、経済的価値、関係的価値、社会的価値などを追求しながら人生の幸福を目標として生きている。女性は人間である対象とともに幸福を感じながら生の意味をもつ。これにより男性の自我実現は価値を追求することであり、女性の自我実現は意味を追求することである。
第七の仮説 ストレスと心の傷が異なっている
心理論の第七の仮説はストレスと心の傷が異なっているということだ。ストレスは現在の感覚器官の刺激で生成された否定気分であり、心の傷はストレスを心理において処理するとき生成され、否定感情として記憶されるという仮説だ。
男性は気分の心エネルギーがはたらくためストレスを除去しようとするが、女性は感情の心エネルギーがはたらくためストレスによる心の傷を治療しようとする。結局ストレスは男性の心と心理においてはたらく否定気分で、心の傷は女性の心と心理においてはたらく否定感情である。
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