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人は生存し、存在しながら自分だけの幸福を追求する。それで人であれば誰でも自由であり、平等であり、自己の幸福を追求する権利をもっている。人間は人として存在するが、人たちとの関係において存在する意味と価値をもつのである。もし皆さんに子女がいるとすれば、自己の幸福ばかりを追求するのはなく、子女を養育する過程において自分が存在する意味と価値をもって喜怒哀楽を感じ、幸福を追求するのである。このことを人間の自我実現という。
人は生存しながら自分だけの幸福を追求するのであれば、人間は自我実現をとおして幸福を築いていく。自我とは「自」・・自ら、「我」・・自分という存在、・・つまり自ら自分の存在の意味と価値を実現していくことが自我実現なのである。
自我実現にあたってもっとも優先されるのが身体の健康だ。健康であってはじめて生存し、存在することができる。すなわち人として存在しなければならないのだ。その次は心。心が安らかであり、落ち着いていて余裕があれば、自分だけの幸福を感じ、自分が存在する意味と価値を見い出せる結果、あるいは結果物をつくり出しながら、それと同時に幸福を感じる。このように存在の価値と意味をもつようになると、自ずと知的欲求が生じてくる。記憶心理がはたらくようになり、記憶情報をさらに豊かにしようとする欲求が生じるのである。知識を勉強するだけでなく、子供たちに好奇心が多いのも知的欲求がはたらいて自我実現を追求するためである。知識、技術、経験、理解、悟りなどはすべて知的欲求だ。
子供たちは大人よりも自我実現をよく追求する。記憶の部分では多くの記憶データーがあるが、肯定データーばかりがあるわけではなく、否定データーも存在する。ただ大人は知的欲求を充足させるにあたって多くのことを考えるのだが、子供は肯定データーであれ、否定データーであれ、記憶データーが足りないため無条件いっぱいにしようとする。であるから子供たちには記憶データーを豊かにしてあげるのがいい。だからといっていい記憶データーばかり存在してしまうと、悪いことが何であるのか分からなくなってしまい、問題が生じるようになってストレスや心の傷をうけ、困難をぶつかってしまう。だから良いものや悪いものをすべて受け入れて記憶しなければならない。悪いものであってもなぜ悪いのかを正確にわかれば自分にとって貴重な記憶データーになる。ストレスと心の傷の記憶を悪いものとばかり思ってはいけない。何が悪いのか、何が私に痛みを与え、苦痛を与えているのかを正確に知ることができる基準が形づくられることは自我実現を追求するとき重要な考え方の基準となる。
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